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2011年4月22日

検査結果

まる妻です。

ようやくうちのような小さな農家の野菜も、
放射線の影響を調べてもらえるようになり、先日その結果が出ました。

結果は基準値(指標値)以下。
出荷しても問題ないとされている値です。

でも、なんともすっきりしません。
手放しで喜べません。
基準より下ではあるけれども、ゼロではないのです。

まんまる農園としては、野菜のお客様にこの結果をご報告し、
皆さんのご判断に委ねることにしました。
小さいお子さんがいるかどうかなどの状況によって、
結果の受け止め方はそれぞれだと思うからです。

早い段階から「うちは気にしませんから、いつでも送ってください」と
言ってくださった方もいます。
そうは思わない方もいらっしゃると思います。
それは仕方のないことです。

でも、希望もあります。

県内の農業者の話や検査結果を聞くと、
土壌はそれほど汚染されていないようだということ、
植物がそれほど土壌中の放射性物質を吸収しないようだということ。
そして大気中の値も、平常値に近いレベルまで下がってきています。

私たちが検査に出したのは、
最も放射線の影響を受けやすいと思われるほうれん草。
昨年秋に種を蒔き、ずっと畑にあったもの。

震災後に種を蒔いたものの数値はどうか。
今後も継続的に検査を受け、
お客様により安心していただけるよう、結果をご報告していきます。

以下、検査結果とともにお送りしたお手紙より抜粋です。
今の私たちの思いです。


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自分の畑への放射線の影響を懸念して自殺したキャベツ農家の方がいました。
放射線に汚染された福島の土地では、稲の作付けが禁じられました。
沿岸部の田圃では津波による塩害で、
作物が育つような土にもどるまで相当な年月を必要とするようです。

そういうニュースを耳にするたび、農家の嘆きが聞こえてくるようです。
農家と農地は切っても切り離せないもの。
何十年もかけて作ってきた土をある日突然、
なんの予告もなしに汚され、奪われてしまうとしたら・・・。

避難指示が出ても土地を離れようとしない農家の気持ちが、少し判る気がします。

「俺は何にも悪いことしていないんだぜ。」
原乳を破棄しなければならなくなった畜産農家の言葉が耳に残っています。

今はとにかく福島第一原発の安定化を願うばかりですが、
私たちの頭の中は完全に反原発にシフトしています。

田畑から自然の恵みをいただいている百姓として、
今まで声高に反対してこなかったことを本当に後悔しています。

原発は絶対にNOです。でもそれだけではなく、
すべてにおいて経済や便利さを優先する今の世の中の仕組み自体を
考え直さなければならないときがきている気がします。

生きること、それに欠かせない水、土、空気・・・
それらを犠牲にしなければ成り立たない便利さが果たして必要でしょうか。

私たちはこれからも水、土、空気を汚さない農業、
そして人の命を大切にする農業を心がけていきたいと思います。

原発事故をきっかけに農業を離れる決意をした仲間がいます。
長期間にわたって畑から離れざるをえず、
一時的にサラリーマンをするという仲間もいます。

野菜を作りたいのに作れない農家の人たちに比べれば私たちは幸せです。
彼らの無念を考えたとき、私たちにできることは、
彼らの分まで今まで以上に精進してやっていくことだと思います。

その先に何があるのかまったく見えない状況ですが、
今は一歩一歩、歩みを続けていくしかありません。

一刻も早く土壌への影響、土壌から野菜への影響、
土壌の除染をする効果的な方法が示され、
震災前と変わらない農村の景色が戻ることを願ってやみません。

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2011年4月 5日

種を蒔く

お久しぶりです。まる妻です。

先日の地震を受け、たくさんの励ましや心配のメッセージをいただきました。
この場をお借りして、お礼申し上げます。
家族全員無事で元気にしております。

私たちの住む真岡は震度6強。
ただ市内でも被害に差があり、半壊に近い建物がある一方で、
私たちの住まいは、幸いにもブロック塀が一部崩れた程度でした。

電気、水が使えなくなることで気づく、
これまで当たり前だと思っていたもののありがたさ・・・

翌々日には電気、水ともに使えるようになり、
あんなに大きな地震の後に、こんな穏やかな時間を過ごしていて良いものかと思うほど、
普段の生活が戻ってきたかのように感じました。

でも次第にわかってくる被害の甚大さ、
そして原発の事故・・・

いよいよ宇都宮の大気も汚染され始めたと報じられたときに、
いろいろなことが頭をよぎりました。

幼い我が子への影響、
そして野菜への、土壌への影響。

全く先の読めない状況に、
もう二度とこの地で野菜を作ることができなくなるんじゃないか、
ひょっとしたら住むことも。。と悲観的になりました。

野菜も端境期に入り、通常のセットの維持が難しかったことや、
野菜の汚染も予想されたこと、
子どもを安全な場所へ避難させたかったこと、
いろいろなことを踏まえ、考えに考えて、
野菜のお届けをしばらくお休みさせていただくことにしました。

連日、有機農家の仲間たちと連絡を取りあって情報交換をしました。
みんなそれぞれ、いろんな決断をしました。
農業をやめた人、一時的に移住をする人、黙々と畑仕事をしていた人。

私たちは、自分たちの畑と住まいから、農業という仕事から離れたくない、
という思いをこのような状況下で再確認し、
よほどのことが起こらないかぎり、ここに留まることを決めました。

ただそうは決めたものの、畑を耕してよいものか、種を蒔いてよいものか、
そして「安全第一」で作ってきた自分たちの野菜を、
お客様にお届けしてよいものか、子どもたちに食べさせてよいものか。。
初めて直面する事態に戸惑い、やるせない気持ちになりました。

でも、種を蒔かなければ始まらない。
とにかく蒔いて、できたときの状況でいろんなことを判断するしかありません。

一日でも早く、自信を持って野菜をお届けできるよう、
今はやるべきことをやっていきます。


そしてもう一つ、改めて思い知らされたこと。

私たちは、水、土、空気がなければ生きてはいけません。
それは私たち農業者に限ったことではないと思います。
大気や水の汚染がわかったとき、皆さん途方にくれたことと思います。

原発はもう絶対に「NO」です。
でもそれだけではないと思います。
もっと長い目で見れば、今のような大量生産・大量消費の生活だって、
ずっと続けていれば致命的な「汚染」を引き起こすのではないのでしょうか。

いろいろなことを根本から見直すには、今しかないような気がします。
今回のことを教訓にするには、あまりにも被害が大きすぎますが、
私たちに何ができるのか、考えています。

今回の地震で亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、
今も大きな悲しみや苦しみの中にいる方々に、早く笑顔が戻りますように。。

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